普段なにげなく聞いている「音」ですが、そもそも音って何でしょうか?難しく言うと「振動する物体(音源)から発し、周囲の空気の体積変化による疎密波」ということになるのですが、、、 分かりにくいですね。
簡単にいってしまえば、音とは「空気の振動」です。実際のところは空気だけでなく水などの液体や固体なども伝わりますが、普段私たちが聞いている音のほとんどが「空気の振動」と言っていいと思います。
物がぶつかりあったりすることにより生じた振動が周りの空気やその他の様々な物質を伝わり、あらゆる方向へ広がっていくものが音の正体です。その振動を私たちは耳で捉えて音として感じるわけです。
真空中では振動を伝える媒体が存在しませんので音は伝わりません。
音の伝わり方のイメージとしては、下図のようになります。 音が空気中を伝わるときには縦波として伝わりますので、図中のミミズのような感じになります。 これに対して、光は横波として進行しますのでヘビのような伝わり方になります。
そして、音にはいろいろな種類があり、その違いを表わす3要素として、
「周波数(ヘルツ:Hz)」 ・ 「音圧レベル(デシベル:dB)」 ・ 「音色」 があります。

「ヘルツ(Hz)」は音の高低をあらわす単位で、周波数と呼ばれています。
これは、一秒間での振動数を数値化したもので、数値が小さいほど低い音で、数値が大きいほど高い音となります。つまり小刻みな振動は高い音となり、ゆっくりとした振動は低い音となります。
例えば1,000Hzなら1秒間に1,000回、10,000Hzなら10,000回振動していることになります。


人間の耳は、おおよそ「20Hz」の低音から「20000Hz」の高音まで聞き取ることができますが、 聴力が落ちてきた場合、この全周波数域(低音から高音まで全ての音)が同程度に聞こえづらくなる人は少なく、音の高低により聞こえづらさが異なるのが一般的です。
そのため補聴器は、まわりから取り込んだ音を周波数ごとにいくつかのグループに分けて、音質調整を行います。
例えば、音を「高音・中音・低音」の三つに分けて音声処理ができる補聴器を使う場合、高音が聞き取りにくい人が使う時には、高音を重点的に増幅して低音はあまり増幅しないように、 といった音声処理を行います。
補聴器の分野では、このグループ分けを「チャンネル」という言葉を用いて表します。 4つに分ける場合は4チャンネル、8つに分ける場合は8チャンネルと言います。
スタンダードタイプの補聴器では、取り込んだ音を2〜4つくらいの周波数帯域に分けて音声処理しますが、高機能タイプの補聴器では、なんと! 48種類の周波数帯域(48チャンネル)に分けての音声処理が可能です。
48チャンネルもあると、ほとんどの「聞こえのタイプ」に対して、なめらかな音質調整が可能となり、より快適な聞こえの状態に近づけることができます。 また雑音抑制機能なども、より高度な処理方法が可能となってきます。
ただし、いかに高機能な補聴器でも、付けさえすればすべて解決というわけにはいきませんので、やはり、ある程度のご理解と努力が必要となります。 「慣らし期間」も必要だと思います。
「使い始めの違和感が少ないほうがいい」、「はじめから自然な感じに聞こえる補聴器が欲しい」という方には、〔オープンフィッティング〕が可能な補聴器がオススメです。
「デシベル(dB)」は音の強さ(大きさ)をあらわす単位で、音圧レベルと呼ばれています。
ただし、デジベルは相対的なものなので、「0dB = 無音」ということではありません。補聴器の世界では、健聴者が、どうにか聞き取ることができる音の大きさを0dBとしています。
そして、耳が痛くなるほどの大きな音で、これ以上大きい音になると不快に感じる音のレベルが120dBくらいです。
この0dB 〜 120dB の範囲を可聴範囲(ダイナミックレンジ)といいます。

難聴になると、小さな音が聞き取りにくくなりますが、大きくて不快に感じる音のレベルは健聴者と同じ程度であることが多く、そのため可聴範囲(ダイナミックレンジ)は狭くなっていく傾向にあります。


----- dB(デシベル):音圧レベル」について、もう少し詳しく -----
音の強弱は、空気の圧力の変化量によって決まりますが、この繰り返し変化する圧力を「音圧」といいます。音の強弱を表す単位としては「PA:パスカル」を使うのが本来です。 しかしながら、人の耳が聞くことができる音圧の範囲は幅広く、補聴器に関わる音圧として扱う場合でも20μPAから20,000,000μPA あたりまで必要となり、非常に扱いにくいものとなります。そのため通常は、「dB(デジベル):音圧レベル」を使用します。
----- 実は、dB(デシベル)にも種類があり、意味合いやレベルに違いがあるため注意が必要です -----
《 dB SPL (Sound Pressure Level) 》
健聴者が聞くことができる一番弱い音圧 20μPA(マイクロパスカル)= 0 dB SPL と規定して、補聴器の出力音圧レベルを表示するときに使用します。
《 dB 》
補聴器の増幅度(利得)を表示する時などに使用します。 補聴器がどのくらい(何倍)音を大きくする性能を持っているかを表す場合には、単純に大きさ(比率)を表現することになりますので、dB のみの表示となります。
《 dB HL (Hearing Level)》
聴力レベルを表すときに使用します。 同じ音圧でも周波数により音の強さは違って感じるため、聴力レベルを測定するオージオメーターという機械は、健聴者が各周波数ごとに聞こえ始める音圧を 0dB に設定されています。従って、各測定周波数の 0dB HL のレベルは 20μPA とはなりません。



小さな音が聞こえづらくなると、日常生活でも不便が生じてきます。
例えば、60dB以上の音の大きさでないと聞き取れない方の場合、40dB程度のささやき声は聞くことができません。
このような場合には、40dBの音を補聴器の力で60〜70dB程度まで増幅して大きな音にしてあげれば、補聴器装用者には「ささやき声」も理論上は聞くことが可能になります。
ただし、大きな音まで同じような割合で増幅すると、大きくなりすぎて不快なレベルまで達してしまうので、音の大きさに応じて増幅量を変化させる必要があります。 現在の補聴器では、入力音の大きさに応じて増幅量を変化させる「ノンリニア方式」のデジタル補聴器が一般的となっています。
また、聞こえにくさは、周波数の違い(音の高低)によっても異なるため、それぞれの周波数域(各チャンネル)で、適切な音圧レベルに調整された補聴器を使うことが、快適に補聴器をお使いいただく上で大切な要素となります。



音の性質を表わす要素として、「周波数」と「音圧レベル」が出てきましたが、もうひとつ、「 音色 」があります。例えば、音の高さ(周波数:ヘルツ)と大きさ(音圧レベル:デシベル)が同じなら、すべて同じ音に聞こえるかというと そうではありません。バイオリンとフルートで同じ「高さ」と「大きさ」で演奏したとしても、私たちは、それが違う楽器の音だと認識できます。これは音色の違いによるものです。
音を視覚的に表わすのに波形を使いますが、これをみるとよくわかります。 単純な1つの成分でできた音を純音といい、下図・左端のような波形になります。正弦波と呼ばれる波形でもっともシンプルなものです。 これに対してその他の音は、なにやら複雑な形をしています。この波形の違いを感じ取ることにより、私たちは音の違いを認識しているのです。
では、なぜこのような波形の違いができるのでしょうか。
実は、私たちの周りの音は単一の波長のみで出来ているものはほとんどなくて、いくつかの音が混ざり合っています(下図の純音以外は合成波形といわれるものです)。 ピアノで「ド〜♪」と演奏しても、それは単一波長のみのものではなく、多数の微量成分を含んだ音なんです。基本波長といわれる、音の基となる波長があり、それが特定の「ド〜♪」を表現しているのですが、その基本波長にくっついた微量成分(高周波とか、倍音といわれるものです)が、波形を微妙に変化させて音色を作りだしています。それがピアノの「ド〜♪」とバイオリンの「ド〜♪」の音色の違いを作っています。
言葉でも同じ事で、声質や声の高さの違う人が話しても「あ」という言葉を「あ」として認識できるのは、「あ」ということばが持つ波形のサンプルが脳の中にあって、多少の音程の違いがあっても同じ波形であればそれを「あ」として聞き取ることが出来るしくみになっているのです。








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