補聴器は音を大きくする過程でいろいろな音声処理を行うのですが、その処理方法の違いにより「アナログ方式」と「デジタル方式」の二つに分けることが出来ます。
もともとは「アナログ方式」でスタートした補聴器ですが、デジタル技術の発達にともない現在では、ほとんどのものが「デジタル方式」を採用しています。
古くから使用されているシステムで歴史は長いのですが、現在では少数派です。音声処理方法に限界があり、聞こえの質はデジタル方式の補聴器にはおよびません。
ただし、長い間アナログ補聴器を使用している場合では、アナログ方式の方が馴染んでいて「聞こえ」がいいと感じられる場合もあります。
主な音声処理機能としては、以下の3種類があります。
 1、低音の増幅を制限して、高音重視の音質にする。
 2、高音の増幅を制限して、低温重視の音質にする。
 3、一定以上の大きな音を制限する安全機能
一部の器種で、音の増幅率を入力音の大きさによって変化させることにより、ボリューム操作を必要としない機能を搭載したものもありますが、デジタル方式での同様の機能と比べると、いささかの物足りなさを感じるものです。


現在の主流です。補聴器内部に搭載されたコンピューターにより音声処理を行いますので、入力音の多彩な分析が可能になり音質が飛躍的に向上しています。
多くの器種では、外部コンピューターと接続して音質の設定をしますので、きめ細やかな調整が可能となります。
器種により装備される機能は様々で、より多くの機能を搭載したモデルほど高価格になりますが、装用される方によって、必要とされる機能は異なりますので、各種機能の必要性と価格のバランスをよくご検討いただいたうえで、補聴器の器種を選択されることが重要だと思います。
以下に、デジタル補聴器に装備される主な音声処理機能を挙げてみましたので参考にしてください。
機能の種類や名称は、当社で主に扱っているシーメンス社のものを使用しています。







〔 聞こえに関する機能 〕
マルチチャンネル方式 ・ 自動音量調節 ・  eスピーチ処理システム ・ スピーチ&ノイズマネジメント

サウンドブリリアンス
〔 雑音処理に関する機能 〕
サウンドスムージング ・ ハウリングブロッカー ・ ハウリングキャンセラー ・ eウィンドスクリーン
〔 マイクシステムに関する機能 〕
トゥルーイヤー ・ スーパーツインマイク ・ ツインマイク
〔 学習システムに関する機能 〕
サウンドラーニング ・ データラーニング
〔 リモコンに関する機能 〕
e2e双方向ワイヤレス通信システム ・ テックマルチナビゲーター ・ ePen(イーペン) ・ ePocket(イーポケット)




◆ マルチチャンネル方式 ◆
音を複数の周波数帯域に分割し、音声処理を行う方式です。

人の聞こえには、人それぞれの特徴があり、音の高低(周波数帯域)ごとに聞えの程度が異なりますので、使う人の聞こえの状態に補聴器の特性を合わせるためには、入力音を周波数帯域ごとに分けて音質調整を行う必要があります。

チャンネル数が大きいほど、きめ細かな調整が可能になり、使う人に合った音の特性にすることができますが、補聴器の価格もチャンネル数の大きい器種ほど高額になります。

補聴器を使う人の聞こえの状態によっては、それほど多くのチャンネル数を必要としない場合もありますので、そのあたりをよく吟味することが大事です。
◆ 自動音量調整 ◆
小さな音は大きくし、大きな音はうるさくない程度に少しだけ大きくしてくれるなど、自動的に音量を調整してくれる機能で、自然な音量感と心地よい聞こえが得られます。 相手の声の大きさや、まわりの環境に応じて自動で音の大きさを変えてくれるので、常に最適な音の大きさを維持できます。  この機能のおかげで、こまめなボリューム操作を行う必要はほとんどなくなりました。
◆ eスピーチ処理システム ◆
周囲の音環境に応じて雑音を効果的に抑える雑音抑制システムです。

最大7つの環境音を認識して、常に周りの不要な音は小さく抑え、言葉など必要な音は明瞭にきこえるようにしてくれる自動思考システムです。 初期のデジタル補聴器で培われた「雑音抑制機能」と「言葉の強調機能」を高レベルで統合した機能です。
◆ スピーチ&ノイズマネージメント ◆
eスピーチ処理システムをさらに進化した技術で、周囲の様々な音を認識して会話の妨げとなる雑音を抑えるだけでなく、抑制を制御して雑音に埋もれそうな会話の聞きやすさを向上させる機能です。

雑音を抑えながら、雑音に埋もれてしまう小さな言葉を聞き取りやすくする最新のシステムです。
◆ サウンドブリリアンス ◆
12kHzの高音域で言葉の子音や高音を出力し、より自然な音色にします。
データ処理上の問題で、従来8kHzまでの音しか対応していなかった補聴器ですが、4〜8kHzの音を元にして8〜12kHzの音を擬似的に再現して出力することで、より自然な音に近づける機能です。
効率的な音声処理を実現するもので、携帯音楽プレーヤーなどにも使われている技術です。






◆ サウンドスムージング ◆
食器の触れ合う音やドアがバタンと閉まる音などの突発的に響く雑音(衝撃音)を抑えます。

突発的な大きな音を遮断する機能は以前から装備されていましたが、それほど大きくない為に抑制されず、日常の音に紛れてしまう耳障りな音が聞こえてしまう問題がありました。
サウンドスムージング機能は、これらの耳障りな音を抑えることで、なめらかでやさしい音を作り出します。
◆ ハウリングキャンセラー ◆
ハウリングとは、補聴器から出た音が、補聴器と耳の隙間から外にもれてしまい、その音を補聴器が拾ってしまうために起こる現象で、「ピーーー ピーー」と鳴り 非常に煩わしいものです。
ハウリングキャンセラーは、このハウリング(ピーピー音)を検出し、素早く抑えます。
◆ ハウリングブロッカー ◆
ハウリングキャンセラーをベースに、機能を強化したシステムで、耳に煩わしいピーピー音を素早く強力に抑えます。
ハウリングを起こりにくくした分だけ、補聴器の出力を大きくすることが出来ます。 従来よりも音を大きくすることが可能になります。
◆ eウィンドスクリーン ◆
風雑音を自動的に抑制して屋外での快適性をアップします。 ※シングルマイクの耳あな型には装備されません
マイクシステムが高機能になるほど風などの雑音を拾ってしまい煩わしく感じてしまいますが、風雑音をデジタル処理で軽減することで、聞こえの快適性が向上します。







音を収集する部品を「マイク」と言います。
通常、「マイク」は一台の補聴器に一個ついていますが、より高次元の聞こえを実現するために、2個(ツインマイク)、あるいは3個(トライマイク)のマイクが付いているものもあります。
◆ ツインマイク ◆
顔を向けた方向からの音を聞きやすくするシステムです。
前方の音に絞り込むことにより周りの騒がしさが抑えられるので、集会や人込み等、うるさい場所での言葉の聞き取りが向上します。
マイク
●一般的な1つマイク仕様

ツインマイク
●ツインマイク仕様

◆ スーパーツインマイク ◆
「ツインマイク」をさらに進化させた機能で、周りの雑音を抑えるだけでなく、車などの「移動する雑音」も追いかけて瞬時に抑えます。
顔を向けた方向の音に集中しやすくなりますので、街頭や通勤など屋外での聞き取りが大変向上します。
◆ トゥルーイヤー ◆
最も高機能で自然な指向性システムです。
「ツインマイク」や「スーパーツインマイク」の機能を基本にして、人が音を聞くときに働く耳介の効果を取り入れ、本来の裸耳に近い臨場感を作りだすことができます。
従来の指向性機能では判別しづらかった前後の音の方向感がつかみやすくなります。








◆ サウンドラーニング ◆
補聴器が場面毎の好みの音量や音質を自動で学習し設定する。
◆ データラーニング ◆
音量調節を自動的に学習して最適な音量に自動調整。







e2e双方向ワイヤレス通信システム
両耳につけた補聴器の片方を調整すれば、もう片方は自動で調整される通信システムです。
補聴器の両耳装用をしている状況でボリューム調整やプログラム選択をする際に、左右それぞれに等しく調整を行うことは容易なことではありません。
その為、左右の補聴器が互いに通信することで常に左右バランスをとってくれる「e2e双方向ワイヤレス通信システム」はとても便利な機能です。


◆ テック マルチナビゲーター ◆
大きなボタンで、安心して手元で操作ができるリモコンです。
補聴器の音質を切り替えたり、音量の調整が手元で簡単に行えます。

また、「テック マルチナビゲーター」は、テレビやオーディオの音を直接補聴器に送信して補聴器からテレビやオーディオの音を、装用者の聞こえに合った音に調整して出力することができます。

今までは、テレビのスピーカーから出た音を、周りの音などの1つとして補聴器が拾って音声出力していましたが、補聴器から直接テレビの音が流れてくるような感覚なので、とても聞えやすくなります。

まるで、補聴器が高音質ヘッドフォンになったような感覚です。


◆ ePen(イーペン) リモコン ◆
指先ひとつで補聴器の音の調整ができる便利なリモコンです。

お出掛けの時も補聴器のリモコンにはとても見えないので、気にせずに持ち歩くことができます。


◆ ePocket(イーポケット) リモコン ◆
ボリュームの上げ下げやプログラムの切り替えがポケットやバッグの中から人に気付かれずに行えます。

従来では不可能だったマイクロカナルタイプ(耳穴タイプの小サイズ)でも、ボリューム調整とプログラム選択をお使いいただけます。。









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